Jリーグでは毎年秋になると、J1での降格脱出争い、J2での昇格争いが熾烈になってくる。
特にJ1からJ2への降格となると、チームにとってはかなりのショックとダメージだ。
もちろんJ1というブランドから外れてしまうことだけが理由ではない。
Jリーグも成熟してきて、J1とJ2、そしてJ3、JFLと各ディビジョンでチーム間のせめぎ合いが行われているが、J1とJ2では思った以上の格差があるようだ。
今回はそんなJ1とJ2の待遇など、それぞれの違いをご紹介したい。
年俸
J1とJ2の違いでまず大きく目を引くのが年俸。
当然J2になればスポンサー収入も減るため、選手に配分される給料(年俸)も下がる。
J1では年俸1千万円以上〜、有名選手になれば1億円超えの選手もいるが、J2の平均年俸は400万円強と言われている。
年齢やレベルによっては200万円台の選手もいるようだ。
参考:日刊大衆 2013年2月17日
http://news.livedoor.com/article/detail/7417773/
また、契約形態にも種類があり、年俸の上限がない「プロA契約」、年俸の上限が480万円までの「プロB契約」「プロC契約」とがある。
プロA契約は1チーム25人までと決められているが、当然チームの収入によって払える年俸は変わってくるため、人数はまちまちだ。
(逆に最低でもJ1チームは15人以上、J2チームは5人以上はいないといけない)
そのため、J2ではサッカーコーチやテレアポ(!)などの復業をしている選手もおり、Jリーグの引退平均年齢である25〜26歳で辞めてしまうことも多いという。
むしろJFL(日本フットボールリーグ)の方が福利厚生なども使えて、待遇がいいという話もあるくらいである。
観客動員数
続いてJ1とJ2での観客動員数の違い。
当然J1の方が有名選手も多くてレベル・注目度が高いため、観客動員数は多い。
2007年の少し古いデータになるが、観客動員数の違いはこんなイメージだ。
平均入場者数
浦和レッズ(J1):46,667人
アルビレックス新潟(J1):38,276人
FC東京(J1):25,290人
横浜Mマリノス(J1):24,039人
ベガルタ仙台(J2):14,685人
コンサドーレ札幌(J2):12,112人
アビスパ福岡(J2):9,529人
セレッソ大阪(J2):6,627人
昔から根強いファンが多いイメージのセレッソ大阪でさえ、集客はガクンと下がっている。
J2になると、対戦相手のチームにも有名選手が少なくなるため、実際観戦に行くのは、本当にチームをサポーターとして追いかけている人たちに絞られてくるのかもしれない。
分配金
Jリーグには「均等分配金」といって、成績に関係なく全チームに分配されるお金があるが、この金額もJ1とJ2では格差が著しい。
2017年はDAZNの配信契約により全体的に底上げとなっているので、2016年を例に挙げると、以下の通りだ。
2017年
J1 3.5億円
J2 1.5億円
2016年
J1 1.8億円
J2 7000万円
賞金
リーグでの成績によって賞金も配布されるが、これも当然金額差はハッキリしている。
3位までの賞金は以下の通りだ。
J1
リーグ優勝:3億円
リーグ2位:1億2千万円
リーグ3位:6000万円
J2
リーグ優勝:2000万円
リーグ2位:1000万円
リーグ3位:500万円
レベル
元日本代表の高原選手も昔よりかなり底上げされてきたと話しているが、そうは言ってもJ1とJ2ではチームの戦力の差もあるため、当然展開されるサッカーのレベルも違う。
J1昇格とJ2でのプレーを経験したアビスパ福岡の城後選手は、サッカーダイジェストのインタビューでJ1について以下のように答えている。
なにより止める、蹴るの基本技術、フィジカルの強さ、切り替えの早さがJ2とは比べものになりませんでした。
また、J2はJ1よりもクラブ数が多く、チーム間の実力差も多いと言われている。
J2上位クラブはJ1からの降格組もいるため、J1とさほど変わらない実力を持つチームもいるが、J2下位となると、今度はJ3と行き来しているチームも存在する。
こうしたピラミッド構成はどこの国のリーグでもあることだが、今後は全体的なレベルの底上げも重要になってくる。
夢のJ1舞台を目指して
以上、J1とJ2の格差についてご紹介してきたが、J2の厳しい状況は昔も今も変わっていないようだ。
とはいえ、ファンとしてはそういった苦境をバネにJ1へ昇格するという夢を分かち合いたいのも事実。
2017年には長崎のVファーレン長崎がチーム創設以来初のJ1昇格を果たし、地元も大変盛り上がっている。
また、10年以上ぶりにJ1とJ2の入れ換え戦が復活するかもしれないという話もあるため、今後はより降格・昇格争いが盛り上がると思われる。
ぜひこういった機会でさらにファンが興味を持ち、最終的にはJ2の待遇もさらに上がっていくことを期待したい。